歴史余話

歴史の深層、歴史あれこれ 九州学院の卒業生でも意外に知らない学校の歴史エピソードやこぼれ話などをご紹介します。

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第二十六話 同窓会に新しい風:新制部会の発足

 1979(昭和54)年頃から、創立70周年が近づくに連れて、新制高校の初期の同窓生の間から同窓会の活性化を図りたいとの気運が高まってきた。如何にしたらこれまでの同窓会を活気づけることができるかと夜毎学院に集まり熱心に討議が続けられた。その結果、若い同窓生の同窓会活動に対する意識喚起が必要だと結論付けられた。一つの区切りとして戦後の新制の卒業生を中心に同窓会の部会として「新制部会」を結成して同窓会の中核的な活動をしようと言う事になり、川瀬同窓会長の了解を得て発足に至った。
 平井英雄(旧制34回、新制1回)氏を新制部会長とし、下記のような組織が作られ、同窓生と教職員からなる総勢62名の役員が選出された。各委員会は多くの若い世代の同窓生が中心となって構成され、副会長は各委員会の委員も兼任する形がとられた。
 1980(昭和55)年1月3日、旧制の先輩の理解のもと、これまでの同窓会と新制部会が一体化することになり、第1回同窓会総会が800名の参加のもとニュースカイホテルで開催され、新しいスタートを切った。
 それに先立つ半年前に、同窓の団結と意気を内外に示すべくボシタ祭・九学会が発足した。

会長:      平井英雄氏(S1)
副会長:     山中晴夫氏(S4) 他5名
監事:      藤本哲雄氏(S2) 他1名
事務局長:    山下昌洋氏(S3)
事務局:     下田 隆氏(S2) 他5名
企画委員長:   藤井宏樹氏(S5) 他8名
育英奨学委員長: 森本 孝氏(S5) 他4名
広報委員長:   葉 祥泰氏(S5) 他7名
支部委員長:   沢田泰生氏(S6) 他7名
組織委員長:   三浦九朗氏(S4) 他9名
募金委員長:   山中晴夫氏(S4) 他7名

新制部会の活動として、最も重視されたのがこれまでの同窓会組織の強化と会員の掘り起こしであった。また、川瀬清同窓会長の勉学に秀でた優秀な生徒を是非とも九州学院に招きたいとの強い要望の基に、育英奨学制度の充実が掲げられた。
三浦九朗組織委員長のもとで、1980(昭和55)年9月には次のような檄文を同窓生に送り、活発な活動が続いた。(要約)

「新制部会に参加しよう」
  1. 私学の現況

     補助金と納付金の動き
     公立と私立の格差
  2. 同窓会の現況

     同窓会の管理運営の主体性は学校側に委ねられているのが実情です。
    学院伝統の慎み深い奉仕の発露が、同窓会活動に関しては裏目に出ている現状です。旧制の先輩の期待に応えるためにも、戦後を一つの区切りとして「新制部会」なるものを組織し母校のため己のために、同窓縦横の連携を展開することになりました。
  3. ねらい

    「若い同窓会員の同窓会活動へ積極的な参加を促すとともに、会員相互のより良い親睦を図り併せて母校及び在校生に対する強固な支援を図ることを目的とする」
  4. 会員へのサービス

    広報紙の配布、支部別会員名簿の配布、社業案内と同窓求人、定例セミナーの開催、同窓礼拝の開催、スポーツ同好会の催し、総会による同窓交流、
  5. 組織

  6. 支部の義務

    総会の成立、支部会員の消息の把握と本部への通報、連絡組織作り、年会費の徴収、特別寄付の呼びかけ、
  7. 支部一覧

     熊本市内 52支部、 県内郡市 15支部、 県外 4支部、

 熊本市内各校区および天草や阿蘇等の県内市町村に各支部を作っていくという壮大な構想が動き出した。写真は熊本市東部の若葉・泉が丘支部結成の準備会の一コマである。このような準備会が各校区・地区で熱心に行われた。その結果、熊本市内52支部、県内郡市15支部および県外4支部が結成された。

 支部が結成されたところでは支部委員会から、支部の旗と看板が貸与され、結成された各支部への支援が行われた。また、各支部間の親睦と交流を目的に新制部会の行事の一つとして、支部対抗のソフトボール大会も九学グランドで開催されていた。

更に、森本育英奨学委員長のもとでは、優秀な生徒を一人でも多く入学させたいとのことで、これまでにない育英奨学制度が同窓会の中に作られることになり、1983(昭和58)に第1回の支給が行われた。現在までに多数の生徒に対して奨学金の支援が続けられてきており、その精神は現行の育英奨学制度「ナルドの壺」に受け継がれている。
 企画委員会では九州学院の記念行事に併せて、新制部会として1981(昭和56)年10月31日市民会館で創立70周年記念音楽会を開催し、昼の部2時開演・夜の部6時開演の2回で大盛況だった。
 70周年記念の各種行事の実施や育英奨学制度の充実および同窓生の活動の場である同窓会館の設立等にあたって、山中募金委員長を中心に、これまでにない大規模な募金活動が展開された。実際には、S1回からS33回卒の約240名の学年代表が募金特別委員会の委員として任命され、募金活動に従事した。その結果、応募者は3000名を超え1億円をオーバーする浄財が集められた。
 このような新制部会の発足、70周年記念事業の実施等については、広く同窓生に周知して理解を得る必要があるとのことで、葉広報委員長のもとで同窓会の新聞が「九学同窓会」というタイトルで発行されるようになった。このタイトルは元同窓会の会長紫垣正弘氏(旧制1回)の揮毫されたものである。

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