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九学一丸、総合力で戦力 <熊本日日新聞記事より>

[2012-03-21]

九学一丸、総合力で勝負  (植山茂) <熊本日日新聞 20120319日に掲載>

九学は、昨春から一回りも二回りも大きくなって再び甲子園のグラウンドに立つ。昨秋の県大会(優勝)と九州大会(準優勝)を通じたチーム打率は3割5分8厘、投手陣の防御率1・51。いずれも、昨春のセンバツで16強入りしたチーム(打率2割8分9厘、防御率2・11)を上回る数字だ。「今年は総合力が高い」と坂井宏安監督も手応えを得ている。
 甲子園での経験も豊富。萩原英之主将とエース大塚尚仁、遊撃手溝脇隼人、一塁手岡山士朗の4人は、昨春のセンバツでも主力を務めた。さらに萩原と溝脇は、2010年の夏の全国選手権で1年生ながらスタメンとして8強入りに貢献した。
 九学は、昨秋の県大会と九州大会を、安定した投手力と強打で勝ち上がった。指揮官が「両大会を通じて一番のヤマだった」と振り返る県大会の2試合でも勝負強さが際立った。3回戦の済々黌戦では5安打に抑えられたが、大塚が相手エースを上回る被安打3、失点0、12奪三振の快投を演じて2−0で快勝。接戦となった準々決勝の熊本商戦では、1点を追う六回、5番岡山が逆転の2点本塁打で大塚を援護した。
 バッテリーを軸にした守りと、しぶとい打線・・・。苦しい展開の中で培ったチーム力に、坂井監督は「メンバーが要所要所で自分の仕事をしてくれるようになった」と目を細める。                       九州大会では、初戦で藤蔭(大分)に9−4で快勝。センバツ出場のヤマ場となる準々決勝では、大塚が宮崎西を10奪三振で完封した。スライダー、直球ともに切れは抜群で、捕手の浅川椋を「完璧」とうならせ、2−0でセンバツ切符をたぐり寄せた。
 また準決勝の創成館(長崎)戦では、萩原主将の先頭打者本塁打で勢いに乗り、9−0の七回コールド勝ちした。決勝こそ初回に大塚が乱れて8失点を喫し、1−8で敗れたが、「センバツに向けていい勉強になった」(坂井監督)。この敗戦を機に、ナインは気持ちを引き締め、冬場の練習で体力と技術をアップした。
 一冬を越え、高い総合力と豊富な経験を持つチームは大きく成長した。萩原主将は言う。「目の前の1試合をはつらつと楽しみながら、自分たちの野球をすれば、結果はついてくるはず」。九学がセンバツで突破していない2回戦の壁を、地に足をつけて乗り越えていくつもりだ。